日本財団 図書館


 

2. 諸外国の近代化の現状(甲・機両用資格制度並びに船員配乗等)

 

今日、航行設備装置及び機関設備装置におけるコンピューター、電子コントロール、それに自動化が高まっているために、伝統的な航海士と機関士の役割区分を明確に限定することが難しくなってきている。
そのため、多くの先進海運国が甲板部と機関部の両方の職務を遂行する船舶乗組員を教育訓練し、甲・機両用の免状資格を取れる船員の養成、訓練制度を設けている。
諸外国の甲・機両用資格制度の導入状況の概要ならびに船員配乗・陸上支援状況は次の通りである。

 

(1)英国
?@職員の甲・機両用教育
英国は1989年からSTCW条約のRegulation?U/4及び?V/4に従って甲板部及び機関部双方の航海当直を行う船舶乗組員を養成するいわゆる「甲・機両用教育」を実施している。
英国における船舶職員の甲・機両用教育コースにはBTEC DIPLOMA in Maritime TechnologyとHND in Engineering(Marine Technology)の二つのコースがある。
前者のBTEC DIPLOMA in Maritime Technologyコースは、航海、機関のHNDスキムヘの入学資格を得るための座学の2年制コースで、基礎コースとも呼ばれているものである。この両用教育コースは、イングランドでは三つのCollegeが直接学生を募集し選抜して行っている。
一方、HND in Engineering(Marine Tecology)コースは、Collegeでの座学と乗船実習からなるサンドイッチ・スキムの教育訓練コースで、卒業時にHNDとともに航海士としてClass3の、また、機関士としてClass4の免状資格が与えられる。養成コースの内容は、座学と乗船実習を繰り返すが、18ヵ月の乗船実習を含めて修業年限は4年である。
この両用資格のキャディットは主機関から自動制御システムに至るまであらゆる船舶機械のオートメーションとメインテナンスに加えて、操船、当直、カーゴ・オペレーション、乗組員の監督等についても教育訓練される。

 

?A近代化船の配乗について
英国では近代化船についての明確な定義はない。船舶の設備基準については、IMOで議論されたものに準じているが、現段階では英国の法令で定められているものは少なく、ほとんどは主に船級協会規則で定められているものに従っている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION